木地編 |
山中漆器の発祥は木地挽きが始まるところから発展してきました。そのため山中の木地は、他の産地とは異なった高度な技術で、薄挽きや筋挽きを生かした優れた木地が特徴です。
これから山中漆器の工程を順番に説明していきたいと思いますが、まず最初は木地挽きについて説明していきたいと思います。 |
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1.木地の種類と特徴 |
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3.木地の乾燥 |
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乾燥というと水分をゼロにすることと考えそうですが、漆器においてはいかに木材中の水分率を安定させるかということが乾燥の概念です。乾燥させると狂いやヤセという現象が発生しにくくなります。乾燥した木地の寝かしの時間を含めて乾燥期間は通常2ヶ月以上かかりますが、最近では真空乾燥等の新しい方法も使われ、その期間が短縮されています。 |
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4.木地挽き |
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乾燥した「荒挽き」を轆轤に掛け、製品に仕上げます。木地師は自分で木地を挽く鉋をつくります。しかもその鉋はひとりひとり自分で研究し、作り上げた自分だけの道具です。このような努力から、山中独自の加飾挽きといわれる多くの筋挽きが誕生しました。その筋の数は40種類とも50種類とも言われています。 |
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山中では主に、欅、栃、ミズメ、などの木材が使われています。これらのほかに栗、松、楓などの木の用途に応じて使われています。
「欅」は私たちの周りでよく見かける木です。そのため安定して使えます。大きな木は家具や建材に使われ漆器に使われるのはそれらに使えない曲がった部分や細い部分を使います。硬くて、狂いにくい良い材料ですし椀などに使われます。またきれいな木目を生かした拭漆の物に適しています。
「栃」は大きな材料が使えるので菓子鉢などに使われました。ただ、狂いやすく柔らかいので椀の木地には適していません。栃の大木は山奥にあり、最近では、自然保護の影響で市場に出ることが少なくなってきました。そのため価格が高くなり漆器の材料としては使いにくくなってきました。
「ミズメ」はカバノキ科カバノキ属の木で、硬く狂いにくいので欅と同じように椀などに使われますが、木目があまりはっきりせず、木目の見えない塗下用の木地に使います。
山中漆器ではこれらの木地を使い、製品に仕上げています。他産地の木地との大きな違いは「縦木取り」といわれる材料の取り方にあります。
「縦木取り」は木が立っていた状態で輪切りにし木取りをする方法です。このとり方は「横木取り」といわれる木を横にして板状に製材したものより木取りをする方法より、効率が悪く大きな物がとりにくいという欠点がありますが、「縦木取り」は変形が少なく、割れにくいというメリットがあります。この特長を生かして山中漆器は蓋物、椀、棗などを精巧なものを作ってきました。 |
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2.荒挽き |
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「荒挽き」とは木を生の状態で、製品の大体の形に挽くことです。生で挽かれた「荒挽き」はこの後、木地師のところでで乾燥されます。乾燥すると「荒挽き」は少々小さくなりますから、「荒挽き」は少々大きめに仕上げておきます。 |
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